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測定カーブが以前より滑らかに見えるのはなぜですか?

バージョン 8.1.x で、eSense アプリにおける測定信号の表示を改善しました。以来、カーブはより落ち着いて、より見やすくなっています。このページでは、その背景と、測定結果の評価にとって何を意味するのかをご説明します。

なぜ平滑化が必要だったのか

どの測定にも、本来の身体信号のほかにわずかな測定ノイズが含まれます。eSense では、それはセンサーの分解能の限界で生じます。eSense Skin Response は 0.01 マイクロジーメンス刻み、eSense Temperature は 0.01 摂氏度刻みで測定します。

測定値が高いあいだは、このノイズはほとんど目立ちません。しかし皮膚コンダクタンスが 1〜2 マイクロジーメンスの範囲にあると、目に見えるギザギザのかなりの部分をノイズが占めます。生理学的にはほとんど変化がなくても、カーブは落ち着かないように見えます。eSense Temperature では、皮膚温度がもともとゆっくりとしか変化しないため、同じ現象がとくに目立ちます。

フィルターの働き

私たちは One Euro フィルターという手法を使っています。単純な移動平均とは本質的な点で異なり、信号の変化の速さに合わせて常に自らを調整します。

  • 信号がゆっくり変化しているあいだは、フィルターは強く平滑化します。ノイズはほぼ消えます。
  • 本物の速い変化が生じた瞬間に、フィルターはただちに開き、その変化を変えずに、遅れもなく通します。

従来の移動平均ではこれができません。あらゆる反応をなだらかにし、時間的にずらしてしまいます。バイオフィードバックでは即時のフィードバックが重要ですから、それは避けたかったのです。

フィルターの設定はセンサーごとに個別に調整されています。信号のふるまいが異なるためです。皮膚コンダクタンスは呼吸とは違う変化をし、筋緊張は皮膚温度とはまた違う変化をします。

お客様にとって何が変わるか

カーブが落ち着いて見えます。推移、マイクロジーメンスで示される水準、そしてはっきりした上昇はいずれもそのままです。

反応は完全に見えたままです。深い呼吸、物音、考えごとなどの後に生じる皮膚コンダクタンスの上昇は、以前と同じ速さ、同じ大きさで現れます。

自発変動の回数は少なくなることがあります。eSense アプリは自発変動(skin conductance responses、SCR)を数え、1 分あたりの SCR として表示します。この数値は信号の落ち着かなさに左右されます。平滑化の前は、測定値が低いときにノイズの一部が変動として数えられていました。その数え方は過大でした。平滑化以降はそれがなくなるため、SCR の値が以前より低く出ることがあります。その場合、Biofeedback Snake には緑の記号が多く表示されます。

これによって実際の自律神経活動が変わるわけではありません。変わったのは、余分に数えられていた分だけです。

以前の測定と新しい測定はどう比較すればよいですか

制限なく比較できるのは、カーブの推移、マイクロジーメンスで示される基礎水準、最小値と最大値の幅、そしてはっきりした上昇と下降です。

一対一では比較できないのは、自発変動の回数(SCR および 1 分あたりの SCR)と、そこから導かれる色分けです。一方の測定がアップデート前、もう一方がアップデート後の場合に当てはまります。とくに測定値の低い記録に影響します。

バージョン 8.1.6 からは、同じ方向に働く二つ目の変更が加わりました。自発変動の検出方法そのものを見直しています。極小値からそれに続く極大値までの上昇は、1〜20 秒のあいだに 0.02 µS 以上に達した場合に SCR として数えられます。この二つの変更により、バージョンの境目をまたぐ SCR 値を直接並べて比べることはお勧めできません。詳しくは皮膚コンダクタンス反応(SCR)をご覧ください。

長い期間にわたって訓練の経過を追う場合は、同じ期間内の測定どうしを比較することをおすすめします。

代わりに何を見ればよいか

とくに測定値が低い場合、変動の回数はもっとも意味のある指標とは言えません。次の二つの観察のほうが多くを教えてくれます。

  1. セッション全体を通した基礎水準。測定が進むにつれてカーブは下がっていきますか。これはリラックスが深まっている良い手がかりです。
  2. はっきりした振れ。ある地点で皮膚コンダクタンスが明確に上昇し、その後ゆっくり収まっていく場合、その瞬間に何が起きたのかを考えてみる価値があります。こうした反応は、どんな回数の数値よりも自律神経の反応しやすさを物語ります。

どのセンサーが対象ですか

平滑化は eSense Skin Response、eSense Temperature、eSense Respiration、eSense Muscle、eSense Pulse で有効で、それぞれ個別に調整されています。

CSV エクスポートはどうなりますか。これはまだ生データですか

はい。フィルターは記録されるデータにも作用します。これは意図した設計です。

理由は、フィルターが取り除いているものにあります。eSense の Skin Response、Temperature、Respiration の各センサーは、測定信号をアナログ音声信号としてイヤホンジャック経由で送ります。アプリはこの音声信号を測定値に変換します。この変換の際、分解能の下端に技術的な要因によるノイズが生じます。これは測定系から来るものであり、お客様の身体から来るものではありません。したがってこのノイズを取り除くことは、データを歪めることではなく、もともとお客様のものではない妨害成分を取り除くことです。生理学的な信号は、速い反応もすべて含めて、そのまま保たれます。

実用上の利点もあります。測定中にアプリで見えているカーブは、CSV ファイルを Excel、Python、MATLAB で描いたときに得られるカーブとまったく同じです。どちらも同じものを示します。

これを追跡・検証できるようにするため、手法は全面的に公開しています。使用しているのは Casiez, Roussel, Vogel による One Euro フィルター(CHI 2012)です。参照実装は github.com/casiez/OneEuroFilter で公開されています。フィルターは約 20 行のコードで、どの言語でも再現できます。パラメーターは三つあり、センサーごとに異なる値を選んでいます。

センサーminCutoffbetadCutoff
eSense Skin Response (µS)0.3 Hz0.31.0
eSense Temperature (°C)0.12 Hz0.0071.0
eSense Respiration (RA)1.0 Hz0.021.0
eSense Muscle と eSense Pulse のパラメーターも個別に調整されています。判明しだい、ここに追記します。

minCutoff は信号が静かなときのカットオフ周波数、beta は速い変化のときにフィルターがどれだけ開くかを決める値、dCutoff は内部で用いる変化速度を平滑化する値です。Skin Response では beta をあえて高く設定しています。本物の自発変動は素早く生じるため、妨げられずに通す必要があるからです。Temperature では beta がきわめて低く設定されています。皮膚温度はもともとゆっくりしか変化せず、そこで取り除くべきものはほぼノイズだけだからです。Respiration ではカットオフ周波数を呼吸周波数とノイズ帯域のあいだに意図的に置き、呼吸が減衰せずに通るようにしています。

データを学術的に扱っていて手法についてご質問がある場合は、どうぞサポートまでお問い合わせください。

値が全体的にとても低いのですが、どうすればよいですか

常に 1 マイクロジーメンスを下回る値は、たいていは皮膚との接触が不十分であることを示します。その場合は次の点をご確認ください。

  • 新しいジェル電極または粘着電極をお使いください。開封済みのパックは数か月のうちに乾き、伝導が悪くなります。密閉して保管してください。
  • 測定前に真水で手を洗い、よく乾かしてください。消毒剤やハンドクリームは接触を悪くします。
  • 電極は面全体をしっかり押し当て、装着後 1〜2 分待ってから測定を開始してください。

詳しくは記事eSense皮膚反応の値が非常に小さいをご覧ください。

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